囀や名優愛でし一本松


”銀山の町”生野に、昭和を代表する俳優・志村喬さんの生家跡と記念館。

意外なことに、あの岡田准一さんと浅からぬご縁のある場所でした。

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志村喬が生まれ育った生野鉱山

銀谷のひな祭りに立ち寄った日。

『井筒屋』さんを後にしてふらりと道路を歩いていると、何やら趣のある大きな建物が目に入りました。

のぼりには、「銀谷の雛まつり」のほかに「志村喬」の文字

志村喬生家跡をふくむ、生野鉱山職員の宿舎「甲社宅」でした。

(正式名称は「朝来市旧生野鉱山職員宿舎」)。

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残念ながら生家そのものは残っていないものの、大正期の造りに復元された甲7号棟が記念館になっており、志村さんの生い立ちや代表作を紹介するパネル、遺品などが展示されています。

『七人の侍』や『生きる』など黒澤明監督の作品では欠かせない”いぶし銀”俳優・志村喬さん。

私たち夫婦にとっては、ここ最近ハマっている『男はつらいよ』における博(ひろし)の父役の記憶も新しく(?)、吸い込まれるように立ち寄ったのでした。

鉱山の精錬滓を固めているという”カラミ石”
鉱山の精錬滓を固めているという”カラミ石”
鉱山を管理していた三菱グループロゴの瓦
鉱山を管理していた三菱グループロゴの瓦

岡田准一さんと志村喬記念館の縁

ふと目に留まったのが、入り口右手に飾られている、岡田准一さんの第38回日本アカデミー賞W受賞をお祝いする看板。 ※最優秀主演男優賞(『永遠の0』)&最優秀助演男優賞(『蜩ノ記』)

「なぜ岡田くん?(敬称略)

と疑問符を浮かべながら、施設紹介のパネルを読みこんでいると、「お若いのに、志村喬のこと知ってるの?」と、声を掛けられました。

声の主は、「甲社宅運営委員会」会長の宇治さん

話に花が咲き、この場所にまつわる色々なエピソードを教えて頂きました。


これぞまさに”男気”

岡田さんが初めて同記念館を訪れたのは、大河ドラマ『軍師官兵衛』の姫路ロケが始まる前日。

「兵庫で愛される俳優にあやかりたい」という想いからでした。(『女性自身』記事より)

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宇治さんに伺ったところによると、実は、映画『あなたへ』の撮影時にお忍びで来られた高倉健さんからも一度訪れることを薦められていたといいます。

(さらには、志村さんと親交があったジャニーズ事務所副社長・メリー喜多川さんからも、写真を撮ってきてほしいと頼まれていたのだとか。)

以後、3度にわたり来訪されており、そのたびに個人名義で大金を寄付されていかれているそうです。

冒頭の看板は、今年2月20日、3度目の来訪予定にあわせて、施設の皆さんがお礼も兼ねて制作していたものだったのです。


ちなみに、W受賞が確定した2月27日の朝に宇治さんがアシスタントの方へお祝いのメールをしたところ、夕方、なんと岡田さん本人から御礼の電話が(!)

われらが姫路そして砥峰高原が舞台となった『軍師官兵衛』での役さながらの、義理堅く男らしいお人柄に同性ながら憧れてしまいます。

志村喬さん、高倉健さん、そして岡田准一さん。

”名優”の系譜は、不思議なご縁の糸で繋がっているようです。


今日の一句

囀や 名優愛でし 一本松

さえずりや めいゆうめでし いっぽんまつ

季語:囀(春)

生家の跡地には、立派な松が一本残されています。(二本並んでいるようにも見えますが、二股の一本松)

古木に宿るたしかな生命力を感じながら、昭和を生きた名優の生涯にしばし思いを馳せました。


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