葉桜を見馴らふころとなりにけり


四年に一度、100句1組で競う若手俳人の登竜門。

「第五回芝不器男俳句新人賞」への挑戦が終わりました。


俳壇との距離と現在位置。

 

俳句に親しみのない方にとっては、「俳壇」という言葉は奇異に映るかもしれません。

また、広義の「俳句を詠む人」を「俳人」と呼ぶことも然り。

 

ほかの多くの業界(?)と同じく、俳壇の中心は関東、東京です。

近年、若手俳人の中には結社を嫌いネット上での発表を重視する方も増えてきているようですが、実力と知名度を兼ね備えた先生方による俳壇での評価は俳人のその後にとって一定の影響力があるのは事実です。

いまやNHK俳句の選者も務めておられる”俳句界のプリンス”高柳克弘さんは『鷹』という結社に所属し、次期主宰として現在編集長を務めておられます。

【ドキュメンタリーWEBムービー】ことごとく未踏なりけり~俳人・高柳克弘の世界~


上に挙げた高柳さんと同じ研究室で机を囲んでいたのにも関わらず、東京時代には作句と無縁だったわたし。

あとから「ああしておけば」と思うことがたくさんあります。

長谷に移り住んで数ヶ月後の、ある夏の日。

「貴士さん、俳句の研究してたのならきっと作れるわよ」

村のお姉様から句会にお誘いいただいたことで突如「俳人」生活がスタートしました。


「第五回芝不器男俳句新人賞」応募、そして最終選考落選。

 

先輩方のご指導をいただきながら、細々と句を作り続けること約4年。

主にこのブログと所属結社の会報誌(俳誌といいます)で作品を発表してきました。

特に結社においては若手というだけで重宝がられ、ありがたいことにお姉様がたからのラブコールや激励のお手紙をいただくこと屢々。

 

一方、出不精なことも手伝って、特に都市部の若い俳人と出会う機会はありません。

「現代の俳壇はどこへ向かっているのか」

「若手の俳人はどんなことを考えているのか」

地方(いわゆる田舎)で暮らす中でも極力アンテナを張ってきたつもりですが、温度感がいまひとつ掴みきれず、翻って自分が今どんな位置にいるのかも不明なまま。

俳壇における客観的評価を知りたいという思いで、全国から俳人を発掘する目的で開催されている俳句コンテストに応募することを考えるようになりました。


筆頭に挙げられるのは、”俳句のカドカワ”主催、俳壇の芥川賞とも呼ばれる角川俳句賞

年齢は不問。

「未発表作品」50句1組が条件。

ブログにも結社にも発表せず作品を作り溜めるのは至難と判断し、早々に諦めました。

 

一方、近年若い俳人の登竜門となっているのが『芝不器男俳句新人賞』

「40歳まで」の年齢制限があり、100句1組、既発表句OK。

四年に一度の開催となっており、第五回の開催は2018年。

「これなら出せそうだ!」

照準を合わせることにしました。

”冨田拓也・杉山久子・御中虫・曽根毅といった本賞受賞者のみならず、
関悦史・神野紗希・佐藤文香・九堂夜想・岡田一実・堀田季何・西村麒麟ら、これまでの奨励賞受賞者の活躍によって、俳壇の登竜門となった感がある芝不器男俳句新人賞だが、百句競作という難関に、ぜひチャレンジしてもらいたい。”(選考委員・城戸朱理さんのブログ記事より引用)

 

多いようで少ないようで、やっぱり多い「100句」

駄句は数あれど、まず自分の中で納得できる水準の作品がどれだけあるか。

結果的に書き下ろし(詠みおろし?)作品も5句ほど加え、期限ギリギリまで推敲を重ねて提出。

3月末に発表された一次選考通過作品のリストに、受付番号「84番」がありました。

 

最終選考は、東京都荒川区の会場にて4/14に開催。

ぜひ会場の議論を聞いてみたかったのですが、予定もあって見送り。

公式サイトでの結果発表を待ちました。


”本賞の最終選考会を平成30年4月14日 (土)、ゆいの森あらかわ ゆいの森ホールにて開催しました(写真別紙)。 愛媛県松野町出身の俳人・芝不器男の名を冠するこの賞は、4年に一度、新鮮な感覚を備え、大きな将来性を有する若い俳人に贈られます。この賞が誘因となって、今世紀の俳句をリードする新たな感性が登場することを支援することを目的としています。 第5回目となる今回は、140作品の応募があり、氏名等応募者の属性を秘匿のまま 応募作品(100句/一応募)の討議選考を行いました。

最終選考会では、一般公開のもと、一次選考通過34作品の中から、新人賞1名、奨励賞5名、そして全応募作品の 中から、特別賞1名を決定しました。

<中略>

第5回芝不器男俳句新人賞 生駒大祐(58番)

第5回芝不器男俳句新人賞 選考委員奨励賞
城戸朱理奨励賞 表健太郎(38番)
齋藤愼爾奨励賞 菅原慎矢(1番)
対馬康子奨励賞 堀下翔(105番)
中村和弘奨励賞 松本てふこ(13番)
西村我尼吾奨励賞 佐々木貴子(45番)
第5回芝不器男俳句新人賞特別賞 田中惣一郎(71番)

”(4/26付プレスリリースより引用、一部改変)

「84番」、そしてわたしの名前はありませんでした。

後日、新人賞受賞の生駒大祐さんの圧巻の作品を再度味わったり、応募者へのあたたかい心配りが感じられるプレスリリースを何度も読み返したりしていると、不意に涙が出ました。

城戸さんのブログ記事によれば、同賞の創設者でもあり今回の選考委員を務める西村我尼吾参与が、予選通過の全作品にキャッチフレーズを付けていたのだとか。追ってHPに応募者全員の作品評が掲載されるようなので続報を待ちたいと思います。

 

今回の経験で、中央俳壇とのある程度の「距離感」、そして今の自分に足りないものがおぼろげに見えてきました。

あくまで自分なりの解釈ですが、知識や技術の前に「感じとる」ことが俳句あるいは人生において大切なことだと痛感しました。

焦らず、ゆっくりと日々を歩み、感動のインプットを重ねていきたいと思います。

 

【一覧】第五回 選考結果(芝不器男俳句新人賞 公式サイト)

(一次選考通過)内に名前が出ています。作品へのリンクもありますのでお時間のある時に・・・。


今日の一句

 

葉桜を 見馴らふころと なりにけり

はざくらを みならふころと なりにけり

季語:葉桜(夏)

大会公式サイトで受賞結果が発表された日は、シンボルツリーの山桜がちょうど葉桜になりかける頃。

少し気持ちも落ち着き、日常を過ごしています。


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